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2025年1月7日

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活水女子大学図書館所蔵の貴重図書のご紹介

 活水女子大学学術研究所は、活動の一環として活水学院の歴史的貴重資料の研究・調査・整備を行っています。
 今回紹介する活水女子大学図書館所蔵の貴重図書は、エリザベス・ラッセル氏の『旧約史略』(明治19年美以美雜書出版・全1冊)です。この図書に関しては、活水五十年史にも記述は見られません。
 本書の意図、内容は、以下のラッセル氏の序文に記されているように「聖書歴史」の授業などの教育活動に使用されたと想定されます。明治22年制定のカリキュラムには「聖書歴史」の授業があり、また「明治21年6月、神学科第一回卒業生、五名出す」(活水五十年史)とあり、活水学院創業期の教育・学習の実践状況の一端を示すものと思われます。
 なお、本稿の英文翻訳は、本学英語学科 狩野暁洋教授によるものです。

内表紙(和文)
内表紙(原文)

◎「内表紙」原文の翻訳
旧約聖書の歴史
旧約聖書が語る出来事と真実の概要
学校や自主での活用を念頭に年代順に表記
監修・翻訳 エリザベス・ラッセル 活水女学院
英国国教会派メゾジスト教会 日本出版部 横浜 1889

目次(和文)
目次(原文1)
目次(原文2)
序文(原文1)
序文(原文2)

◎「序文」(原文)の翻訳
 6年前に日本で宣教を始めた時、聖書時代史の教材が必要であることを痛感するようになった。日本人助手の助けを借りて、ハンナ女史の『聖書時代史』の翻訳に取り掛かった。当時、その本が日本の学校での指導に最も役立つと感じたからだ。日々その本を翻訳してゆくことを活水女学院での教育の一環とした。翻訳が完成する段階になっても、他に同じような内容の本が出版される気配がなかったので、出版のための原稿作成に取り掛かった。度量の測定表やユダヤ暦、年表も内容に盛り込んだ。ゲイキーの『聖書の時間』、スタンレーの『ユダヤ教会の歴史』、スミスの『聖書時代史』なども参考にした。旧約聖書に出てくる人名や地名の索引も作成した。参考文献として利用するだけでなく、日本語の聖書辞典の作成にも活用していただければ幸いである。
 この本では、聖書で使われている言葉にできるだけ正確に使い、体系的にかつ読者に楽しんでもらえるような方法で聖書の歴史を提示するよう努めた。宗派性の強い意見表明は差し控えたつもりだ。特定の事柄を教科書でどのように記載すべきか、教員間で意見の対立が起こることがあるが、教理問答方式が学生たちの集中力を高め、記憶に残りやすいことに関しては疑問の余地はないであろう。
 本巻を活用することにより、日本人の若者たちが、ユダヤ人がいかにして何世紀にもわたり、激動の時代を歩んできたかについて記憶していただければ幸いである。そしてそれを機にもっとも偉大な書物である聖書をより深く勉強し、日常の愛読書とし、聖書が提示する倫理観や救い、愛するイエス様の存在について感じてほしいと切に願っている。本巻を出版するにあたり、たくさんの方にご助言やご批判をいただいた。この場をお借りしてお礼を申し上げたい。

エリザベス・ラッセル 長崎・日本 1886年8月

本文一頁

(活水女子大学学術研究所)